Sweet Explosion
「あなたの好きなスイーツを、5つ挙げてください」
もしもそんな質問をされたら「氷砂糖」をランクインさせてしまう程にスイーツ偏差値の低い俺である。
酒呑みの珍味好きなので基本的に甘い物を能動的に求める事は無いのだが、目の前にホイと出されればまあだいたい自動的に食う。
自動的に食うが、その味の良し悪しはわからない。
俺が甘物を食って褒める際の言葉はいつも同じだ。
「そんなに甘く無いので、美味しい」
褒め言葉が甘味否定なのだ。嫌なら食うなってな話ではある。
旅先で一人色々と食い散らかして歩く事が俺の楽しみのひとつなのだが、だいたいが肉やら麺やらの調査で日々忙しく、甘味なんぞにかまけている時間は微塵もない。
そもそも俺の様なむさくるしい中年男がどの面下げてスイーツの店などに行けば良いと言うのだ。
だが、毎年幾度となく訪れているタイ・チェンマイで、ちょっとした気まぐれも手伝って現地のスイーツを味見して回って見ようと思った。
幸いな事に、先日チェンマイの街を数人の女性陣と共に散策する機会が何度かあったので、軽く女装して紛れていくつかの甘物を食い散らかす事に成功した。
なので今回、柄にも無いのは承知の上でタイのスイーツをいくつか、過去に食べた物も含めてご紹介してみようと思ったのである。
思ったのではあるが、そもそも大した興味も持っていない「スイーツ」などという物を、偉そうに人様に向けて語る言葉が俺の中にあるのだろうか。
答えは「無い」。無いのであった。
「甘い、冷たい、ちょっとしょっぱい」
スイーツ偏差値の低い俺の様な人間にとってはこの世の全ての甘物が大体この辺の言葉の組み合わせで語れてしまう。
無理矢理言葉をこねくりまわして思ってもいない事を書いたところで
「朝霧に煙る飲み屋横丁で座り小便をしている赤ら顔のジジイ、そのうなじから漂って来るようなモハゥンとした濃厚な甘酸っぱい芳香」
などと薄気味の悪い表現になってしまう危険性があるので、ここはまあ無理をせずざざっと正直な感想だけを素直に書いてみようと思う。
【マンゴースイーツ盛り合わせ】
バンコクの人気マンゴースイーツ店のチェンマイ支店にて。
俺が選んだのは店のイチオシメニュー的ないろいろ盛りプレート。
フレッシュマンゴーは完熟で確かにトロリと甘く美味い。
使用しているマンゴーの質が良いのでマンゴープリン、マンゴーアイスも勿論美味い。
ポイントはココナツミルクで炊いた餅米である。
少々の塩が加えられた餅米は甘味と塩味が絶妙なバランス。
こいつをチマチマとつついて一旦口の中の甘味をリセットする事によって様々なマンゴーデザートをいつまでも美味しく食べられるのだ。
もしかしたら「ココナツミルクで炊いた米」と聞いて身構えてしまう人も居るかもしれない。
タイで日常的に食べられているおやつにカオニャオマムアンというものがある。
ココナツミルクで炊いた餅米の上にカットされたフレッシュマンゴーを乗せ、更にココナツミルクをたっぷりとかけて食うのだ。
日本の感覚ではありえない組み合わせであり、そのビジュアルインパクトも手伝って敬遠してしまう人も多いだろう。
だが、食ってみるとこれが美味いのである。
餅米を「米」「ごはん」だと認識するから日本人には抵抗があるのであって、「餅」だと思えばなんてことは無い。
ココナツミルク風味の餅に、果物が乗っている。ざっくりと分類すれば苺大福みたいなもんだ。
タイを訪れた際は是非とも試してみて欲しい。
まあ俺は2、3口食ったらもういらないけど。
【米ゴマぶつけ】
サンデーマーケットをぶらついていたら、気になる日本語を見かけた。
「米ゴマぶつけ」
海外でよく見かける珍妙な日本語の一種ではあるのだが、なんとも想像力をかき立てられる名前である。
「米ゴマぶつけ」である。
一体どんな物なのか確かめるべく食ってみる事にした。
バナナの葉を使ったシートの上に、何かを練った黒い生地が一枚ずつ乗せられている。
注文を受けるとおばちゃんがそれを一枚、ペロンと葉から剥がして鉄板の上に乗せて焼き始めた。
ジュジュジュと音を立て、生地が焼き上がる香ばしい匂いが漂よい始めた頃におばちゃんは胡麻、砂糖、ショ糖を順番に振りかけた。
そしてトングをつかってクルンと巻く様に折り畳み、まな板の上に移してザクザクッと一口大に切り分ける。
それをやはり何かの葉っぱで作った小さな容器に入れ、竹串をツンと刺して渡してくれる。しめて15バーツである。
さっそく焼きたてを一片、ホフホフ言いながら口に放り込んでみる。
生地は餅米を伸ばした物で、胡麻が練り込まれている。
サクサクした表面を噛むとモッチモチの生地が心地よく口中にまとわりついて来る。
練り込まれた上に、さらに振りかけられた過剰な胡麻感、そしてダブルシュガーの甘味。
くどくど書いたが、要は「胡麻味の甘い餅」である。
まあ、胡麻と餅が好きな方には良いのではなかろうか。
たぶん健康にも良いだろうし。
【マンゴーチーズケーキ】
またマンゴー。古民家カフェで頂いた。
これはレアチーズケーキ、になるのだろうか。
俺の中にはチーズケーキの種類に関する引き出しが無いのでよくわからないが、なんかクリームたっぷりでふわふわしていた。
マンゴー果肉もたっぷり入っている。甘過ぎないので美味いと思う。
【犬ケーキ】
ショッピングセンター内の菓子店で売られている犬の形を模したケーキ。
これを食べたとあるバンドのアナーキーなドラマー(現在某大学医学部在学中)が熱を出して寝込んでしまったが因果関係は不明。
地元の方々には人気があるようで2日に1個位のペースで売れているようだ。飾り用の物なのかも知れない。
俺の個人的な感想はただ一言。まずい。
【マンゴータビオカミルク】
またまたマンゴー。
タピオカ入りココナツミルクにフレッシュマンゴーが入った物。
甘い。冷たい。
【マッシュルームジュース】
まずい。
意気込んで始めてはみたものの、自分でも驚くほど急速に甘物を語るモチベーションが失せてしまった。
食べたスウィーツはまだまだあるのだが、もうやめておこう。興味が無い事はしない方が良い。
現在では甘物にさほどの興味は無いが、思い返せば過去に一度だけ、ケーキを作った事があった。
ベイクドタイプのチーズケーキである。
菓子作りという物には正確な計量が必要だと聞く。
細かい作業であり、ガサツな俺にそんな事が出来るとは誰も思わないだろう。
が、4半世紀近くの自炊歴を誇り、料理はソコソコ自信のある俺だ。
今回はその秘伝のレシピを思い出しながら書いてみる。今後みなさんの菓子作りの参考にして頂きたい。
*********俺式チーズケーキの作り方*********
材料:
・3〜4個の卵
・砂糖どっさり
・チーズひとかたまり(スーパーなどで普通に売っている、四角い塊のやつ。クリームチーズだったか普通のプロセスチーズだったか忘れた。多分どっちでもいい)
上記の材料をボールに入れ、手でグチャグチャにこねくり回す。
↓
適当に混ざったらドンブリに盛る。
↓
電子レンジに入れて30分位にセットし、加熱。
↓
爆発
*************************************
以上、中学生時代の俺が家に一人で居た際、どうしてもチーズケーキが食べたくて堪らなくなった時に作った物の大雑把なレシピだ。
爆発後、ドンブリに残った物体は冷ましてから捨てると火傷をしないで済む。
電子レンジの内部に飛び散った破片は濡れ布巾等で綺麗に拭き取ると、次回から何事も無かったかのように気持ちよくレンジが使える。
おためしあれ!
もしもそんな質問をされたら「氷砂糖」をランクインさせてしまう程にスイーツ偏差値の低い俺である。
酒呑みの珍味好きなので基本的に甘い物を能動的に求める事は無いのだが、目の前にホイと出されればまあだいたい自動的に食う。
自動的に食うが、その味の良し悪しはわからない。
俺が甘物を食って褒める際の言葉はいつも同じだ。
「そんなに甘く無いので、美味しい」
褒め言葉が甘味否定なのだ。嫌なら食うなってな話ではある。
旅先で一人色々と食い散らかして歩く事が俺の楽しみのひとつなのだが、だいたいが肉やら麺やらの調査で日々忙しく、甘味なんぞにかまけている時間は微塵もない。
そもそも俺の様なむさくるしい中年男がどの面下げてスイーツの店などに行けば良いと言うのだ。
だが、毎年幾度となく訪れているタイ・チェンマイで、ちょっとした気まぐれも手伝って現地のスイーツを味見して回って見ようと思った。
幸いな事に、先日チェンマイの街を数人の女性陣と共に散策する機会が何度かあったので、軽く女装して紛れていくつかの甘物を食い散らかす事に成功した。
なので今回、柄にも無いのは承知の上でタイのスイーツをいくつか、過去に食べた物も含めてご紹介してみようと思ったのである。
思ったのではあるが、そもそも大した興味も持っていない「スイーツ」などという物を、偉そうに人様に向けて語る言葉が俺の中にあるのだろうか。
答えは「無い」。無いのであった。
「甘い、冷たい、ちょっとしょっぱい」
スイーツ偏差値の低い俺の様な人間にとってはこの世の全ての甘物が大体この辺の言葉の組み合わせで語れてしまう。
無理矢理言葉をこねくりまわして思ってもいない事を書いたところで
「朝霧に煙る飲み屋横丁で座り小便をしている赤ら顔のジジイ、そのうなじから漂って来るようなモハゥンとした濃厚な甘酸っぱい芳香」
などと薄気味の悪い表現になってしまう危険性があるので、ここはまあ無理をせずざざっと正直な感想だけを素直に書いてみようと思う。
【マンゴースイーツ盛り合わせ】
バンコクの人気マンゴースイーツ店のチェンマイ支店にて。
俺が選んだのは店のイチオシメニュー的ないろいろ盛りプレート。
フレッシュマンゴーは完熟で確かにトロリと甘く美味い。
使用しているマンゴーの質が良いのでマンゴープリン、マンゴーアイスも勿論美味い。
ポイントはココナツミルクで炊いた餅米である。
少々の塩が加えられた餅米は甘味と塩味が絶妙なバランス。
こいつをチマチマとつついて一旦口の中の甘味をリセットする事によって様々なマンゴーデザートをいつまでも美味しく食べられるのだ。
もしかしたら「ココナツミルクで炊いた米」と聞いて身構えてしまう人も居るかもしれない。
タイで日常的に食べられているおやつにカオニャオマムアンというものがある。
ココナツミルクで炊いた餅米の上にカットされたフレッシュマンゴーを乗せ、更にココナツミルクをたっぷりとかけて食うのだ。
日本の感覚ではありえない組み合わせであり、そのビジュアルインパクトも手伝って敬遠してしまう人も多いだろう。
だが、食ってみるとこれが美味いのである。
餅米を「米」「ごはん」だと認識するから日本人には抵抗があるのであって、「餅」だと思えばなんてことは無い。
ココナツミルク風味の餅に、果物が乗っている。ざっくりと分類すれば苺大福みたいなもんだ。
タイを訪れた際は是非とも試してみて欲しい。
まあ俺は2、3口食ったらもういらないけど。
【米ゴマぶつけ】
サンデーマーケットをぶらついていたら、気になる日本語を見かけた。
「米ゴマぶつけ」
海外でよく見かける珍妙な日本語の一種ではあるのだが、なんとも想像力をかき立てられる名前である。
「米ゴマぶつけ」である。
一体どんな物なのか確かめるべく食ってみる事にした。
バナナの葉を使ったシートの上に、何かを練った黒い生地が一枚ずつ乗せられている。
注文を受けるとおばちゃんがそれを一枚、ペロンと葉から剥がして鉄板の上に乗せて焼き始めた。
ジュジュジュと音を立て、生地が焼き上がる香ばしい匂いが漂よい始めた頃におばちゃんは胡麻、砂糖、ショ糖を順番に振りかけた。
そしてトングをつかってクルンと巻く様に折り畳み、まな板の上に移してザクザクッと一口大に切り分ける。
それをやはり何かの葉っぱで作った小さな容器に入れ、竹串をツンと刺して渡してくれる。しめて15バーツである。
さっそく焼きたてを一片、ホフホフ言いながら口に放り込んでみる。
生地は餅米を伸ばした物で、胡麻が練り込まれている。
サクサクした表面を噛むとモッチモチの生地が心地よく口中にまとわりついて来る。
練り込まれた上に、さらに振りかけられた過剰な胡麻感、そしてダブルシュガーの甘味。
くどくど書いたが、要は「胡麻味の甘い餅」である。
まあ、胡麻と餅が好きな方には良いのではなかろうか。
たぶん健康にも良いだろうし。
【マンゴーチーズケーキ】
またマンゴー。古民家カフェで頂いた。
これはレアチーズケーキ、になるのだろうか。
俺の中にはチーズケーキの種類に関する引き出しが無いのでよくわからないが、なんかクリームたっぷりでふわふわしていた。
マンゴー果肉もたっぷり入っている。甘過ぎないので美味いと思う。
【犬ケーキ】
ショッピングセンター内の菓子店で売られている犬の形を模したケーキ。
これを食べたとあるバンドのアナーキーなドラマー(現在某大学医学部在学中)が熱を出して寝込んでしまったが因果関係は不明。
地元の方々には人気があるようで2日に1個位のペースで売れているようだ。飾り用の物なのかも知れない。
俺の個人的な感想はただ一言。まずい。
【マンゴータビオカミルク】
またまたマンゴー。
タピオカ入りココナツミルクにフレッシュマンゴーが入った物。
甘い。冷たい。
【マッシュルームジュース】
まずい。
意気込んで始めてはみたものの、自分でも驚くほど急速に甘物を語るモチベーションが失せてしまった。
食べたスウィーツはまだまだあるのだが、もうやめておこう。興味が無い事はしない方が良い。
現在では甘物にさほどの興味は無いが、思い返せば過去に一度だけ、ケーキを作った事があった。
ベイクドタイプのチーズケーキである。
菓子作りという物には正確な計量が必要だと聞く。
細かい作業であり、ガサツな俺にそんな事が出来るとは誰も思わないだろう。
が、4半世紀近くの自炊歴を誇り、料理はソコソコ自信のある俺だ。
今回はその秘伝のレシピを思い出しながら書いてみる。今後みなさんの菓子作りの参考にして頂きたい。
*********俺式チーズケーキの作り方*********
材料:
・3〜4個の卵
・砂糖どっさり
・チーズひとかたまり(スーパーなどで普通に売っている、四角い塊のやつ。クリームチーズだったか普通のプロセスチーズだったか忘れた。多分どっちでもいい)
上記の材料をボールに入れ、手でグチャグチャにこねくり回す。
↓
適当に混ざったらドンブリに盛る。
↓
電子レンジに入れて30分位にセットし、加熱。
↓
爆発
*************************************
以上、中学生時代の俺が家に一人で居た際、どうしてもチーズケーキが食べたくて堪らなくなった時に作った物の大雑把なレシピだ。
爆発後、ドンブリに残った物体は冷ましてから捨てると火傷をしないで済む。
電子レンジの内部に飛び散った破片は濡れ布巾等で綺麗に拭き取ると、次回から何事も無かったかのように気持ちよくレンジが使える。
おためしあれ!
- 2015.03.09 Monday
- 国内
- 04:55
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- by Dennis Ivanov